Slack/Mattermost(以降、まとめてSlack)のbotといえばHubotが有名だ。
Hubotはcoffeescriptで書かれているのだが、botのためだけに新しい言語を覚えるのも面倒。
加えてHubotを動作させるにはnpmが必要。
ちょっとそこまでは…。
Pythonなら普段使いで最初から環境は作ってあるし、楽だし。
そう思っていろいろと調べてみた。

Slackのbotに必要なことは?

Slackのbotに必要なのは、端的に以下の二つ。

  1. Slackからのデータ送信を受ける。
  2. Slackへ何かをする。

1.は、HTTP POSTでやってくるので、POSTを受けることさえできればよい。
2.は、例えばSlack上で何かの発言をすることだが、こちらはcurl(Pythonならrequests)でも使えば簡単にできる。

PythonでHTTP POSTを受けるには?

Flaskである。
Flaskとはごくごく軽量なwebフレームワークである。
驚くくらい簡単にwebサーバを作ることができる。
もちろんPOSTを受けるのもすぐにできる。
以下、説明。

Flaskのインストール

pipでもなんでも、好きなものを使ってインストールせい。

Flaskのテスト

以下のようなスクリプトを書く。
適当な名前で保存する。
flask.pyとかはやめようね。

#!/usr/local/bin/python

from flask import Flask

app = Flask(__name__)

@app.route('/')
def welcome():
    html = '<html><title>welcome</title>'
    html = html + '<body>welcome</body></html>'
    return html

if __name__ == '__main__':
    app.debug = True
    app.run(host='0.0.0.0')

上記のapp.route(’/’)とは、ルーティング。
ルートディレクトリ(’/’)へのアクセスがあったら、次のdef welcome()が(デコレートによって)呼ばれる、ということである。

上記の場合、welcomeと表示するhtmlが返る。

app.debug = Trueについては後述。
app.run(host=‘0.0.0.0’)のhost=…の記述により、サーバを外部に公開することになる。

テストスクリプトの実行

$ python ./flasktest.py
 * Running on http://0.0.0.0:5000/ (Press CTRL+C to quit)
 * Restarting with stat
 * Debugger is active!
 * Debugger pin code: 213-546-048

localhostのポート5000でサーバが立ち上がったと分かる。
ブラウザでアクセスして「welcome」と表示されればよい。

ところで、app.debut = Trueだが、スクリプトを書き換えると、自動的に再読み込みをしてくれる。
実際のログは以下。

* Detected change in '/usr/home/doe/py/flasktest.py', reloading
 * Restarting with stat
 * Debugger is active!

激烈に便利な機能なので、開発中は有効にしておくこと。

SlackからのPOSTを受ける。

先ほどのスクリプト冒頭のimportを以下のように変更。

from flask import Flask, request

さらに以下を追加。

@app.route('/matter', methods=['POST'])
def post():
    print request.form

上記のようにしておいて、Slack側のOutgoing Webhookで、呼び出すURLにhttp://<あなたのサーバのアドレス>:5000/matterを指定する。

Slack側からwebhookを呼び出してみると、POSTされた内容がログに表示されるはず。
なお、def post()が何も返さないのでエラーは出るが気にしない。

以下が例。

ImmutableMultiDict([('user_id', u'xxxxx'), ('channel_id', u'xxxxx'), ('timestamp', u'1414562326'), ('team_id', u'xxxx'), ('trigger_word', u'test'), ('channel_name', u'off-topic'), ('token', u'xxxtokenxxx'), ('text', u'test'), ('team_domain', u'xxxx'), ('user_name', u'xxxx')])

つまりPOSTの内容はディクショナリになっている。

Slackへ応答を返そう

Slackへ応答を返す場合には、POSTでもらった中にあるtokenが必要である。
応答文、tokenのディクショナリを作っておいて、それをjsonに変換し、返してやればよい。
Mattermostの場合、tokenのキーは’MATTERMOST_TOKEN’

先ほどのスクリプトを最終的に以下のようにする。
(わざわざjsonをimportしているが、Flaskにもそういう機能がある気がしてならない)
これでSlackから通知を受けると、「You said <トリガーワード>」という応答がSlackへ帰る。

#!/usr/local/bin/python

from flask import Flask, request
import requests
import json

app = Flask(__name__)

@app.route('/')
def welcome():
    html = '<html><title>welcome</title>'
    html = html + '<body>welcome</body></html>'
    return html

@app.route('/matter', methods=['POST'])
def post():
    postdic = request.form
    incomeText = postdic['text']
    token = postdic['token']
    text = 'You said ' + incomeText

    payload = {
            'text': text,
            'MATTERMOST_TOKEN': token}
    json_payload = json.dumps(payload)
    return json_payload

if __name__ == '__main__':
    app.debug = True
    app.run(host='0.0.0.0')

あとはどんどん膨らませていけばよい。

【補遺】slackのoutgoing webhooks

slackでのwebhooks設定方法を示す。
webでいうと、左下のAppsからBrowse Appsを選び、outgoins WebHooksを探す
Add Configurationで設定へ。

webhooksを投げる条件を設定する。以下の3つ。

  1. 指定のチャンネルで発言したら
  2. 特定のトリガーワードを発言したら
  3. 特定のチャンネルで特定のトリガーワードを発言したら

1.はChannelで、2.はTrigger Word(s)で指定する。
3の場合には1.2.の両方を指定する。

上記条件に合致したらwebhooksを投げるURLを「URL(s)」で指定。
そのときのTokenは記載の通り。

webhook

webhooksで飛んでくるデータは以下の通り。json「ではない」ことに注意。

token=qFosSxxxxxxxxERh1Jfdy5  
team_id=T0009  
team_domain=example  
channel_id=C0000000000  
channel_name=test  
timestamp=1355517523.000005  
user_id=U0000000000  
user_name=Steve  
text=googlebot: What is the air-speed velocity of an unladen swallow?  
trigger_word=googlebot: