pkgコマンドが何らかの要因で壊れてしまい、pkgコマンド自体の再インストールすらできず詰んでしまったときの対処方法を示す。
お急ぎの方は「蘇生方法」からお読みください。

背景: pkgはベースシステム?package?

pkgコマンドは、ベースシステムに組み込まれていながら、pkgシステムで管理されている。
言い換えると、ベースシステムに含まれているのに追加ソフトウェアとしてのpackagesでもある、というちょっと変わった存在である。

これは、pkgコマンド自体を、OSのバージョンに固定されることなく、更新できるための仕組み。
pkgコマンドが純然たるベースシステムであった場合、pkgコマンドを更新するたびにOSリリースが発生してしまうからである。

だから、皆さんご存知の通り、初めてpkgコマンドを実行すると最新のpkgをダウンロード&インストールするのだが、それは上記のような理由である。

なお、ここでの「ベースシステム」とは、FreeBSD projectがリリースする一式(カーネル+ユーザランド)を指す。packagesはユーザが任意に追加するソフトウェア。

問題: pkgはpackageなのでpkgが壊れると詰む。

よろしい。背景は、わかる。
しかし、問題もあって、すなわち;
pkgコマンドもpkgngで管理しているので、pkgコマンドが壊れてしまった場合、pkgの再インストールができず詰む
ということである。

たとえば、pkgコマンドが依存しているshared objectが無くなったとか、壊れた場合である。
FreeBSDではこういう場合に備えて、/rescueにスタティックリンクされたコマンドが並べられているが、pkgはここにない(9.2-RELEASEで確認)。

どうしたらよいか。

蘇生方法: pkgコマンドをダウンロードして、それでpkgコマンドをインストールせよ。

結論。pkgのpackageにはスタティックリンクされたpkgが含まれているのでそれを使う。
以下、手順。

pkgコマンドのダウンロード

まず、pkg.freebsd.orgからpkgコマンドのpackageをダウンロードする。
OSバージョン、アーキテクチャに合ったpackageを選ぶこと。

9.2 i386なら、以下
http://pkg.freebsd.org/freebsd:9:x86:32/latest/Latest/pkg.txz

10.0 amd64なら、以下
http://pkg.freebsd.org/freebsd:10:x86:64/latest/Latest/pkg.txz

※URLは変わる可能性があるので、都度、確認すること。
pkg.freebsd.orgから辿っていけばよい。

実行例

$ uname -a
FreeBSD ascomoid 9.2-RELEASE FreeBSD 9.2-RELEASE #0 r255898: Fri Sep 27 03:52:52 UTC 2013     root@bake.isc.freebsd.org:/usr/obj/usr/src/sys/GENERIC  i386
$ fetch http://pkg.freebsd.org/freebsd:9:x86:32/latest/Latest/pkg.txz
pkg.txz                                       100% of 1811 kB   53 kBps 00m34s

pkg-staticの取り出し。

以下のようにしてpkg-staticを取り出す。
このpkg-staticがスタティックリンクされたpkg

$ tar xvf ./pkg-1.2.4_1.tgz -s",/.*/,,g" "*/pkg-static"
x pkg-static

pkgのインストール

このpkg-staticを使って、ダウンロード済みのpkg packageをインストールする。
ローカルにダウンロード済みのpackageをインストールする場合には引数にaddを与える。
壊れたpkgが邪魔でインストールできないなら、-fを付けて強制的にインストールする。

$ sudo ./pkg-static add -f ./pkg-1.2.4_1.tgz 
Installing pkg-1.2.4_1...pkg-static: package pkg is already installed, forced install
 done
If you are upgrading from the old package format, first run:

  # pkg2ng

あとは通常通りpkg updateなど。

pkgの設定確認

pkgの設定を一覧したり、どのリポジトリを見ているかを確認するにはpkg -vvとする。
pkgについて、誰かに質問するときには、この出力も必ず付けること。

$ pkg -vv
Version                 : 1.2.4_1
PACKAGESITE             :
PKG_DBDIR               : /var/db/pkg
PKG_CACHEDIR            : /var/cache/pkg
PORTSDIR                : /usr/ports
PUBKEY                  :
HANDLE_RC_SCRIPTS       : no
ASSUME_ALWAYS_YES       : no
REPOS_DIR               : [
  /etc/pkg/,
  /usr/local/etc/pkg/repos/,
]
PLIST_KEYWORDS_DIR      :
SYSLOG                  : yes
AUTODEPS                : yes
ABI                     : freebsd:9:x86:32
DEVELOPER_MODE          : no
PORTAUDIT_SITE          : http://portaudit.FreeBSD.org/auditfile.tbz
VULNXML_SITE            : http://www.vuxml.org/freebsd/vuln.xml.bz2
MIRROR_TYPE             : SRV
FETCH_RETRY             : 3
PKG_PLUGINS_DIR         : /usr/local/lib/pkg/
PKG_ENABLE_PLUGINS      : yes
PLUGINS                 : [
]
DEBUG_SCRIPTS           : no
PLUGINS_CONF_DIR        : /usr/local/etc/pkg/
PERMISSIVE              : no
REPO_AUTOUPDATE         : yes
NAMESERVER              :
EVENT_PIPE              :
FETCH_TIMEOUT           : 30
UNSET_TIMESTAMP         : no
SSH_RESTRICT_DIR        :
PKG_SSH_ARGS            :
PKG_ENV                 : {
}
DISABLE_MTREE           : no
DEBUG_LEVEL             : 0
ALIAS                   : {
}

Repositories:
  FreeBSD: {
    url             : "pkg+http://pkg.FreeBSD.org/freebsd:9:x86:32/latest",
    enabled         : yes,
    mirror_type     : "SRV"
  }

pkgの設定ファイルなど。

以下があれば何とかなるはず。

/usr/local/etc/pkg/repos/FreeBSD.conf

FreeBSD: {
  url: "pkg+http://pkg.FreeBSD.org/${ABI}/latest",
  mirror_type: "srv",
  enabled: yes
}

以上