WirelessWireNewsに、「AT&T、HD Voice(VoLTE)サービスを今年中に開始へ」という記事があり、なんとそこで「HD VoiceまたはVoLTEは、通話のノイズが減少し、音質が飛躍的に向上する音声サービスとされている。」という驚きの記述がされていたのでコーヒーを吹いて調べた結果を記す。
結論としてやっぱり別の話じゃねーか安心した。
VoLTEってなんだ。
****ざっくり言うと、LTE上で音声通話をするもの。IMSベースであり、IP網においては音声通話に適した優先制御がなされ、無線区間でも同じく音声通話に適したスケジューリング(TTI Bundling, Semi Persistent Scheduling)がなされるもの。
一方でHD Voiceとは。
****名前からも想像はつくけれども、従来は、人の声の200Hzから3,300Hzまでをサンプリングできなかったのに対し、HD Voiceでは50Hzから7,000Hzまでを対象にできる。
Ericssonのこの記事で示される図がわかりやすい。
結果として「格段に聞き取りやすく」なるそうだ。本記事最後にデモへのリンクを置く。
あまり感動はしなかったんだが、sとかfとかの、無声音とでも言うんでしょうか、そういう音がある言語では重宝するのですかね。
HD Voice = Codec
HD Voiceを実現するのは端的に言ってCodecである。
具体的には、AMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wideband)だ。
VoLTEとHD Voiceは同じか?
GSMAやドコモの情報からすると、VoLTEではHD Voiceを実現するAWR-WBを必須とはしておらず、オプション扱いである。
いずれもPDF注意
http://www.gsma.com/newsroom/wp-content/uploads/2012/06/IR9230.pdf
http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol19_4/vol19_4_045jp.pdf
つまり携帯電話側の能力によるので、LTE上の音声通話であろうとも、HD Voiceができるもの、できないものがある。
だからしてVoLTEとHD Voiceはイコールではありません。
なおWIREDの記事を見ると、 iPhone 5, Samsung S III (and IV), HTC One, Nokia Lumia 920, Sony Xperia Zは対応しているようだ。
How HD Voice Works to Make Your Calls Sound Drastically Better
そのほか参考になるリンク
HD Voiceデモ
…しかしこれは、比較対照のが悪すぎやしないか?
http://www.gsma.com/technicalprojects/hd-voice-sound-demonstration/
HD Voice
http://www.webopedia.com/TERM/H/HD_voice.html
Tip: Wideband vs. narrowband VoIP codecs
http://www.eetimes.com/design/signal-processing-dsp/4017506/Tip-Wideband-vs-narrowband-VoIP-codecs/