数日前、こんなニュースが見かけて個人として思ったことをつらつらと書く。
Vodafone が調べたところによると、彼らの市場(おそらくヨーロッパ圏)で音声通話の平均時間はこの5年で半減し、たかだか1分40秒程度になったとのこと。
別の調査会社も、去年、同様の報告をしている。
減る音声通話: テキストメッセージのトレンドをOfcomが示す
二つの記事が示すのは、成熟した携帯電話市場では、人々は音声通話よりもSMS, SNS, IMなどに移るということ。
それは単にインターネット接続が一般的になり、代替手段が増えただけのことと言ってしまえばそうだろう。
言うまでもなく「電話」は双方が同時に参加しなければならない。双方ともに負担のある通信手段である。
特に時間に制限のある状況で、扱う話題のプライオリティが双方で異なるのに電話を使ったりすると、一方はとてもストレスを感じる。
誰しも「そんな用件で電話かけてくるんじゃねえ。こっちは忙しいんだ」と感じたことはあるはずだ。電話に出て用件を聞くまでプライオリティは分からないし。
それだけに不要不急の通信はメッセージングサービスに移っていくのは自然とも思う。
一方で、例えば緊急時の安否確認をする場合、プライオリティの事前共有が済んでいる場合、あるいは通信内容に意味はなく、単に時間を共有したい場合など、電話は比率を下げながらも使われていくはずだ。
上記の話を踏まえて携帯電話キャリアの話になるのだが、実は彼らにとって電話のような「同期サービス」と、メッセージングサービスのような「非同期サービス」を同時に提供しなければいけないのはとても悩ましい問題だ。
ご存知の通りここ何年か、データ通信が爆発的に増加している。
それを捌くために、各社ともLTEに移行していて、さらにはできるだけ周波数を割り当てたい。となれば邪魔なのは3Gだ。
が、電話のニーズがある以上、すぐには撤去できない。
なぜか?
LTEは大量のデータを短期間で送ることを想定して作られている(データ通信の発生したユーザに一時的に広い帯域を割り当てさっさと終わらせる)。
音声のような、ほそぼそとしたデータを送ることには向いていないのだ。(なお、同じ理由でM2Mのような、ごく少量のデータを大量の端末で扱うパターンも苦手)
だからVoLTEとして根本的な仕様から標準化を進めている。
じゃあそれをさっさと導入する?
しかしVoLTEにはまだまだ制限がたくさんある。110, 119などの緊急呼の扱いもそうだし、一番のネックは端末のバッテリーを急速に消費すること。とてもすぐには導入できない。
というわけで、しばらく電話は3Gを使ってもらうしかないだろう。ただしユーザは高い通話料金を請求されるかもしれない。
だって3G設備は古くなるし、保守費もかかる。電話の使用がダウントレンドなら、キャリアは今さら追い金も払えないから。
いやなら少々品質が悪くてもSkype, Facetime、LINE、WhatsAppなどのOTT音声サービスを使え、ということになるのかも。
でも、youtubeが賑わっているところをみると、ほとんどのユーザはそれで十分なのかもしれない。