山崎豊子の白い巨塔を読んだ。



もともとは財前が裁判にも教授選にも勝ったところで幕だったところを延ばしたらしい。それで良かったのかは分からない。



この作者は、こういう欲望渦巻く話が一番似合うと思う。



その中でも、立場をかさに着た慇懃無礼、臆面の無さ、権力者に対する阿諛追従、といったようなエリアが特に生き生きとするような。



ただちょっと単純すぎるような気もしていて、今読んでいる「華麗なる一族」の方が少しひねってあるように思う。



俗物戦争とは一歩引いた立場として里見などの人物が描かれるが、これも現実味がないというか、どちらかというと「沈まぬ太陽」の主人公の方が、なかなか見ないタイプではあっても、しっくり来るように感じる。