アメリカにいた頃、こういう話を聞いた。



移民1世とでもいうのか、何十年も前にアメリカに渡った日本人の話す日本語は



とても美しいのだと。



アメリカで、日本からは隔絶した状態にいたからこそ、昔の日本語が保存されて



いたようだ。



短いアメリカ生活では、そんな人に会う機会もなかった。



一回だけ、会社の取引銀行の副支配人がそれっぽい人であり、ワクワクしながら



わざと日本語で話をしてみたのだが、忘れかけたせいで無茶苦茶になったブロー



クン関西弁であり理解できず残念であった。



今更ながら「レクサスとオリーブの木」



([http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794209460](http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794209460))を読んだ。本当は同じ人が最



近著した「フラット化する世界」



([http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312795](http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312795))の方を読みたかったのだが、



果たせずこちらになった。



いわゆるグローバリゼーションを説明した本で、とても面白かったのだが、アメ



リカ人以外は素直に頷けないと思う。



内容を口悪く言うと、「リッチな生活したいでしょ? なら我がアメリカのよう



に経済活動をブーストするような、効率化されたシステムを国を挙げて導入せ



よ。然らずんば死。」というもの。



ただし、グローバル化の波は均質化、画一化の波、事実上はアメリカ化の波、と



ほぼ同義なので、「自分たちの国や地域固有の文化、財産は大事にしようね。」



と言うのだが、まあちょっとアメリカ人が言ってもあんまり説得力がない。






さておき、この本の中では、アメリカシステムをレクサスに喩え、一方の、国や



地域固有の文化、財産をオリーブの木に喩え、それら二つの相克を、沢山のエピ



ソードや引用を基に書いていてとても読みやすかった。






実はこの本は、図書館でやっと見つけて借りたのだが、その際に「国家の品格」



([http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101416](http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106101416))も目に入ったので借りてみた。






意図せず読んだこの本では、「レクサスとオリーブの木」と対比をなすように、



グローバル化反対、日本の伝統の復興が大事、という主張がされている。



もともと講演をベースにして書かれた本らしく、内容も薄くて速攻で読み終わっ



てしまったが、残念な読後感だった。



対比という意味では面白かったのだが、論の進め方が暴走気味で、「オリーブの



木」に大した根拠もなくブシドー精神やらが出てきて吹いた。ちょっとトンデモ



気味だ。






日本のオリーブの木は、アメリカで美しい日本語を話す人のように、日本の外に



ぽつんとあるのかも、と思った。