南の島は物価が安かった。なんてったってタクシー初乗り50円である。



ちょっとした夕日を眺めるようなレストランで、ビール飲んで色々食べても大した額にならない。



素敵だ。



でも、物価が安いってことは労働力も安いわけで、こういう国の人たちが本気になると、とってもこわい。



さんざん言われていることだけれども、シリコンバレーでは、インド系技術者の台頭が目覚ましい。なぜかと言えば、安い割に優秀だから。



「彼らの言語がプログラム言語と似ているから」、あるいは「彼らは貧乏なので潤沢なメモリを買えず、効率的なプログラムを書かざるを得ないから」、技術者として優秀なのは当然だと、自分たちの自尊心を守るような分析がされていたこともあったが、今ではもう誰もが認めている。



カレーの香りを身にまとい、サーバーダウンをサルバルドン(ルはすべて巻き舌)とか恐ろしい発音で周りの人を驚かせながら、安くて優秀な人、高くて超優秀な人が各所に進出しているのである。



そのあおりを食らうのは、元のシリコンバレー住人達。



車のディーラーに行ったら、やたら各メーカの高級車に詳しい営業がいて、話を聞いてみると「元」高給取りの技術者だった、とかいう話もある。



俺なども、あるゲイジュツの集いとやらに参加したとき、IT系企業をクビになって、肩もみ会社を興したという娘軍団に会ったことがある。(ちなみに、マッサージは下手くそだった。彼女たちの行く末は非常に不透明と言えよう。)



そんなわけで、シリコンバレーでは一部のスーパー技術者/研究者を除き、中流以下の人間はもうどうにもならない状態になっているのだった。






日本はといえば、今のところ2byte文字の日本語バリアーにヌクヌクと守られている。日本語ムズカシイからな。



あるいは難解な仕様書か。



俺の勤めている会社で作成される、あるいは使用している仕様書は複雑怪奇で実態がない。俺個人はタマネギ仕様書またはマトリョーシカと呼んでいる。



分からないことがあって仕様書を開くと、「この部分の動作はコレコレこうあるべきで、その他は前決めた仕様書と同じ」と書いてある。で、その「前の仕様書」を開くと、そこも前の前の仕様書との差分しか書いてない。



賢明な読者の皆さんならもうお分かりであろうが、どこまで仕様書を追っても、結局疑問は解けない。タマネギの上っ面と、あるかないか分からないようなコンセンサスだけで開発を進めていくのだ。






インド人、あるいは他の国々の人たちが、バリアを物ともせず攻めてくる前に、肩もみの腕を磨くか、車の勉強するか、はたまた物価の安い国で日本人相手にレストランでも始めた方がいいのだろうか、と写真のレストランで日本円で百いくらの生ビールを飲みつつ俺は思ったのだった。






追記。



[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0509/06/news093.html](http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0509/06/news093.html)



オフショア市場に異変――多国籍企業との競争にさらされるインド企業(ITMedia)